陽が沈んだころ、京都駅から北へ15分ほど歩いた西本願寺と東本願寺の間の住宅街にある小さな路地に、周りの建物とは明らかにちがう雰囲気と「の輪」と描.5かれた瓢箪の灯りが特徴的な建物がある。
お店の名前は「CafeBar & Restaurant の輪」。
「大正ロマン館」とある看板からも大正ロマンをイメージした建物であることが窺えるつくりとなっていて、店内に入る前からオーナーのこだわりが感じられる。
燈籠でほんのりと明るく照らされた入り口を一歩進むと、左手には京宿の受付があり、そこには大正時代の着物地で彩られた天井を見ることができる。
奥に進むと小さな橋とオーナーこだわりの坪庭が出迎えてくれた。
京都らしい落ち着いた風情があり、雪が降ると綺麗に映えるというオーナーの話にも納得だ。
そのままバーの店内に入ると、暖かさを感じる明るい照明の部屋には一本の大木から作られたバーカウンターを中心に、坪庭の側にも木で作られた席が何席か。
バーカウンターの奥にはお洒落なお酒のビンや可愛らしいステンドグラスが、
「大正ロマン」を彷彿させる空間を作り出している。
提供しているお料理には、近くの京都市中央卸売市場から仕入れた新鮮な食材を使用しています。
四季を感じられる一皿をお出ししています。
和食がメインですが、ベジタリアンのお客様にはかつおだしのお料理が提供できないので、工夫して提供しています。
そういったお客様の要望に応えつつの仕事にやりがいを感じることができます。
大正時代の魅力がとっておきの時間をつくる 将来の夢を教えてください。
この辺り(京都えきにし)に交流場みたいなものを作りたいんです。誰でもはいれるカフェにして、お客さんはもちろん、地元の方も集まって異国文化の交流場にしたいんです。
それに店名の「の輪」も「輪」という漢字には「つながり」という意味が込められていて、この交流の場でいろいろな小さな輪っかを繋げていって、一つの「輪」になればいいなって思っています。
「大正」のどこが好きなんですか?
着物が好きなんです。大正時代の着物って西洋文化が入ってきたときに、女性が西洋のドキドキする文化を取り入れたいって気持ちからか、個性的なものが多いんですよね。
昔の伝統的な部分を残しながら西洋を取り入れた感じが、すごく魅力的に感じたんですよ。
スタッフには実際に大正時代の着物を着せていて、お客さんもその着物で着付け体験ができます。
ちなみに、受付の天井にも着物の切れ端を使っているんです。大正時代の着物をきれいに切って、丁寧に張り込んでいるんですよ。破れてしまった着物も、リメイクして暖簾として活用しています。
ステンドグラスとかも自分で選んでいて…。中には西洋のアンティークのステンドグラスもあるんです。
あえて、バーのステンドグラスは純和風なもので揃えてるんですけどね。
どうして坪庭があるんですか?
日本の坪庭は何となく落ち着けて好きだからです。癒されるような感じがするんですよね。
雪が降るととてもきれいで、バーから眺めたり、個室の障子のところから見ると素敵なんですよ。
CafeBarも一日通しで営業して いるんですね?
京都駅周辺ってやっぱり海外の方が多いんですよ。
海外の方って朝から飲む人が結構いて、「この辺りで飲める処はないですか?」と聞いてくるお客さんが多いんですね。
じゃあ、お客さんに喜んでいただけるようにバーを作りましょう、となったんです。
今はバーテンダーが居ないので、カクテルとかは出せないですけど(笑) 簡単なものならお出しするようにしてます。